ダンサーのための踊りに活かせる身体の使い方のコツ

ジャイロトニックのエクササイズでの身体の使い方や意識するポイントはダンサーの方にも即役立つ要素がたくさんあります。それを日々のレッスンの中に取り入れて実践すればダンスパフォーマンスの向上に活用できることを、ジャイロトニックトレーナーのキンドール・ペインさんが大変分かりやすくまとめてらっしゃるのでご紹介いたします。

原文はこちらをご参照ください。

Take Home Tips #1: For Dancers by Kindall Payne


ダンサーのクライアントさんにお伝えしているジャイロトニックセッション中と受講後にできるいくつかのコツを皆さんとシェアしたいと思います。
これらのコツは全てダンスのクラスでも基本的に教えられていることですが、プライベート・セミプライベートトレーニングだと改善が必要な部分に個別に集中して、より深く掘り下げてクリアにしていくことが可能です。また、プライベートや少人数のグループトレーニングでは自分の身体の状態を自分のペースでよく把握することができます。今回ご紹介するコツはたくさんあるうちのいくつかに過ぎませんが、ジャイロトニックではどんなことが行われていて今後のダンスのパフォーマンス向上にどのようなメリットがあるのかがお分かりいただけると思います。

《骨盤をニュートラルの位置に保つ》

ダンサーの方は(ダンサーに限らず誰でも)骨盤の位置が後傾または前傾している場合が多く、動いている時もその傾向にありがちです。このように動いていると一見うまく動けているように見えるかもしれませんが、それによって発生する問題や怪我は(例えばお尻や背中が硬くなる等)当然のことながら長く健康に動ける身体を維持することにはあまり役に立ちません。このようにダンサーによくありがちな過ちは骨盤をニュートラルの位置に保つことで(特に立位時)、防ぐことができます。そしてニュートラルな骨盤によってできる身体のつながりが動きの練習やプレパレーション(動きだす前の準備)をやりやすくします。
骨盤がニュートラルな位置にない時というのはどういうことかというと、例えばダンサーがタックイン(骨盤が後ろに倒れている状態)している状態や、あるいは反り腰になっている場合です。このような状態だと、動脚が所定のポジションに戻ってきた時に回旋させる筋肉がきちんと連動できなくなってしまいます。この脚の動きは骨盤がニュートラルな位置で行うと内腿と腹筋がちゃんと使われます。従ってダンサーの方には、ジャイロトニックセッションで教わったホームワークをしたりタンジュやプリエをする時にニュートラルな位置に骨盤(と背骨)を維持する練習をレッスン前や本番前にすることをお勧めしています。

《脚全体をアンドゥオール(回旋)する》

その他にダンサーの方に多く見受けられるのは脚全体に対して足先の過回旋です。この状態は見た目的には美的に感じられるかもしれませんが、本来の正しいアンドゥオールはできていません。脚全体を付け根から回旋することによって膝や足首の怪我を防ぐことができるので、正しくアンドゥオールできているかはプリエやタンジュの際に特に重要なポイントとなります。
ジャイロトニックのハムストリングを使うエクササイズは仰向けの状態ですることによって背骨にかかる重さが軽減され、股関節が自由に動かしやすくなり、正しい回旋(内旋と外旋両方)の仕方を体感しながらしっかり練習するのできちんとできるようになります。この練習をしておくと立位になっても身体の準備が整った状態で臨むことができます。
また、ハムストリングのエクササイズをする時は脚全体にエネルギーを通して股関節から脚全体を回旋するように繰り返し注意されます。そうすれば股関節の動きに伴って足やつま先もついてきます。このように全体のつながりをキープすることによって使うべき筋肉をきちんと使うことができるようになるので結果的によりターンアウトがしやすくなっていくのです。クライアントさん(特に腰に痛みや問題を抱えている方)にはダンスのレッスン前に時間を作ってジャイロトニックで教わった正しい動かし方やホームワークのエクササイズをしてターンアウトする筋肉をウォーミングアップしておくことをお勧めしています。そうしておくと、いつものクセが出てしまったり、上記に示したように骨盤が必要以上にずれてしまった時に自分で気付けるようになるからです。

《肩は下げるだけでなく広げて使う》

ダンスでは上体の動きも様々な形で要求されるため、肩甲帯の周りについている筋肉や回旋するときに使う筋肉を使いすぎて大きな負担をかけてしまいがちなので、その動きの中で背中を支えるための筋肉を正しく使えるようにすることがとても大切です。それは肩を下げるだけでなく、大きく広げて使うことです。そうすると腕が動いている時も背中の筋肉がしっかり使えていて安定しているので腕がもっと自由に動かせます。

その他にも、ほんの少し肘を曲げた上体を維持したまま肘から動き始める腕の動き(これはジャイロトニックメソッド全般に渡って共通するテーマで、脚の動きでも類似の動きがあります)はポールドブラの腕の使い方にかなり有効です。

肘を若干曲げたまま上腕の裏側から動き始めることによって肩甲帯と腕の回旋の正しい動きがさらにしやすくなります。肩を横に広げると肩のラインが長くなるので、決まったポジションを正確に素早く通って動く時にはより効率的に腕を動かせるようになるのです。(例えばこのような動きがその素晴らしい一例です)

《肋骨をつなげて使う》

ダンサーの方は柔軟性が高かったり柔らかすぎたりすることが多いため、アライメントのずれが共通して見られます。その一つは立位・座位・運動中における肋骨のつながりが抜けている状態です。このつながりをしっかり作って維持することで背中を支えバランスを保つことができます。また肋骨のつながりで得られる背中の支えは脚の裏側使う際にも重要な役割を果たします。しかしダンスのレッスン中にこれを感じるのは当然のことながら難しいので、実際はクライアントさんには肋骨を緩めて身体の裏側も長く伸ばしてから動くようお伝えしています。

重心が前や後ろに傾き過ぎていると全身のアライメントが崩れてしまうので立つことも脚を使うことも回すことも困難になります。背を高くして立ち、両脚を感じながら身体の裏側を意識しやすくするために肋骨のつながりを使いましょう。ジャイロトニックではどの面での動きであっても(例えば寝ていても座っていても立っていても回していても)ずっと肋骨のつながりを保ったままエクササイズをします。また、動きながら呼吸も使えると筋肉の緊張がほぐれ、使う筋肉の適切な力加減、長さ、広がりが分かりやすくなります。

《必ずしも全部がストレッチとは限りません》

例えばレッスンの始めにプリエやカンブレドゥヴァンをする時に自分の気持ち良く伸ばせる最大限のストレッチを感じたくなる方は多いかと思います。ウォーミングアップをちゃんとするとレッスンを通して最後まで身体の使うべきところを使って安定を維持でき、怪我を減らすことができます。クラスの始めに行うエクササイズはすでにウォーミングアップ済みであることが前提で行われるものの場合もありますが、そうでなければレッスンの最初はウォーミングアップとして使いましょう。また、身体を長く伸ばして使うには適切な可動域を得るために正しいアライメントと強さが必要です。

ジャイロトニックメソッドでは身体の内側に向かってエネルギーを集め、外側に向かっていく動きを作り出し、そこから必要な長さや伸びを作っていくことに重点が置かれています。そのためただ動きの美しさだけにとらわれないようにすることもとても大事です。

《テンポに遅れない》

正確なタイミングはダンサーをより音楽的にしてくれるので極めて重要です。それによってダンサーは必要に応じて必要な筋肉を始動させることができ、自分の悪いクセを直していくことが可能になります。何かの動きや振りを覚える際にテンポに遅れないようにするにはどうしたらいいかが分かっていると音楽性、全体の調和、及び表現についての個人の解釈の幅が広がっていきます。ジャイロトニックメソッドが他の種類のエクササイズと違うのは軽快なリズムや異なる質感や感触を駆使して長くつながった一連の動きができるようになるところです。

ジャイロトニックセッションでは踊りと同様にエクササイズ毎に色んなテンポやリズムを活用して感覚や意識を高め、しなやかな強さを作っていくのでそれぞれの動きには様々な性質、質感、表現の要素が含まれているのを覚えておくことが大切です。セッションではまず始めに正しい動きを教わってクライアントさんができるようになってから、呼吸やリズムの要素を入れていきます。もしその動きを続けるのが困難になってきた場合はどこの筋肉のつながりが失われて抜けてしまったのか(アライメント等)をクライアントさんご本人で確認してもらい気付けるようにしていきます。同じ様にダンサーの方はダンスのレッスンの時もそういったポイントをチェックすると良い(すべき)でしょう。

レッスンを受けて動きの練習をするのは自分の身体がどんな状態になっているのか良く自分で確認し、理解を深めていく時間でもあります。自分の身体には何が必要なのか、どうしたらそれを得られるかをチェックする確認作業の時間を積極的に取っていくようにするともっと踊りの楽しさが広がっていくと思いますので是非心掛けてみてください!


image〈キンドール・ペインさん〉

カリフォルニア州とメリーランド出身。現役コンテンポラリーバレエダンサー、認定ジャイロトニックトレーナー、運動連鎖リリースセラピストとしてロンドンにて活躍中。
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